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2005年06月24日
絆...そして継承
Hawksの主砲、松中信彦が苦しんでいる。
昨季の3冠王は、交流戦にはいって絶好調だった。交流戦途中までランキングトップの11HRを放ち、シーズンでもHRと打点の2冠王。
特に交流戦中盤には、どんな球でも、どんな体制でも打てる、と思わせる凄まじい打棒を見せていた。
それもあって交流戦終盤にはいると、ことごとく勝負を避けられる。ストライクゾーンに来ない。くさいところに投げ、四球ならそれはそれで良し、という配球。
それでも、好球必打を続けねばならないのだが、責任感の強い松中は、甘い球でなくともストライクゾーンに来たら振りにいってしまう。そうするウチに微妙なズレが生じたか、気付けば17打席連続ノーヒット。HRに至っては、12試合、56打席出ていない。

その松中が、移動日で練習オフの昨日、自主練習を申し出たところ、王監督も休みを返上してユニフォームに袖を通して特打に付き合い、バッティングケージの後ろから約1時間アドバイスを送ったという。
それを紹介する日刊スポーツの記事と写真に感ずるものがあった。
65歳の王監督がマンツーマンで指導する。
現役引退して間もない青年監督ならあることだろう。若い。
そして、こういう光景にも、王貞治と若鷹たちの間に結ばれた絆を感じる。
王貞治は、その高いレベル故のスランプを評して言う。
オレたちは技術屋だから、たまたま打てないときでも、調子が悪いと自分で思い込んでしまうときがある。 それぞれに感覚がある。オレがどう思うかじゃなくて彼がどう感じるかだ。
たまたまのヒットはあっても、偶然のホームランはない。あのスタンドに入らないといけないんだからね。
2割8分でいいと練習しているわけじゃないんだ。三冠王を取った選手がもっともっと高いレベルを目指しているんだからね。
責任感の高さ、そのストイックなまでの求めるレベルの高さ、理想を追い求め徹底的に己を追い込む姿。そうしたものを王貞治や秋山幸二、そして小久保裕紀から受け継いだ松中信彦。それが分かっているだけに、王貞治も昨季の3冠王が我がことのように嬉しかったに違いない。王貞治の愛弟子ともいえる選手の3冠王は初めてでもあった。
その3冠王が、更なる高い頂きを望むなかの迷い道。
松中は言う。
「自分の中で感覚のズレがある。」
その松中に王貞治は敢えて生暖かいことは言わず、プレッシャーを与える。
「4番が打たなければ、勝てない。」
そして、特打の締めくくりのアドバイス。
「ひじから先を柔らかく使え。」
松中はその言葉に何かを掴んだのだろう。
「王監督の言葉でいい打球が戻った。せっかくの休みをユニホームまで着て付き合っていただいて感謝しています。」
王貞治とチームの先達、現役の選手達、そして福岡の間に結ばれた、この絆。
野球ファンで良かった。Hawksファンで良かった。博多っ子で良かった。
そう思えること自体が素晴らしい。ここには日本プロ野球の一つの理想型があると思う。
だが、次代を考えると、その継承が大きなテーマとなる。
DAIさんから、「魔術師―三原脩と西鉄ライオンズ (上)」「魔術師―三原脩と西鉄ライオンズ (下)
」を借りて読んだ。
そこには、プロ野球人として日本プロ野球の理想を追い求める三原脩の姿が描かれている。
そこに、今の王貞治の姿を重ね合わせてしまうのは、自分だけではあるまい。
だが、三原脩はそのキャリアのなかで、監督として、また球団社長として、一時代を築き成功を収めるも、それを継承させることができなかった。
だからこそ強く思う。
この王貞治と若鷹たちの絆がより固く結ばれ、いずれは王貞治の後継者たる存在になって欲しい。
それは、決して簡単なことではない。
その現役時代、そして監督としての実績と名声は言うに及ばず、その厳しさ、優しさ、人間の大きさ、存在感、球界への影響力など、どれをとっても図抜けた存在だ。
選手としての能力だけではない。
極めて不安定なシステム(というほどのものですらない)で運営されている日本のプロ野球では、誰かがこれを継承しなければ、福岡にあるこの理想郷は崩壊しかねない。
だから、なのだろう。
65歳の王貞治がバッティングケージの後ろで胡座をかいて見守る姿に、何とも言われぬ嬉しさを感じる。そして、それに応えようと汗を流す松中信彦の姿にも。
1球1球の打撃音。王貞治のアドバイス。そして、その間にあるであろう二人だけの無言の会話。
こうやって、有形無形の、大切な「何か」が受け継がれていく。
そこに、Hawksと、そして球界の未来が託されていく。
昨季、3冠王にリーチした状態でスト突入となったとき、松中信彦はこう語った。
今を求めるか、先を求めるか。
僕にはまだ来年も再来年も(3冠王の)チャンスがある。もし記録が扱われなくても、僕には先がある。
自分のことより、プロ野球の将来のことを真剣に考えたい。
未来を託すにふさわしい漢だと思う。
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Comments
王監督をはじめスタッフの皆さんに感謝。
早速24号出ました。
ここまで松ちゃんが大きく偉大な選手になるとは・・・
1998年、まだ1軍半の背番号26の松中選手が幼い我が家の娘たちと写真に写っている。
当人も幼顔の、痩せた「松中選手」である。
実は我が家の嫁の実家は松ちゃんの実家と遠縁にあたる。
嫁の実家の法事とかでは松ちゃんの両親と一緒になる。
数年前まではoffに実家に帰った松ちゃんに逢いに行ったり・・・
自分は何も関係はないのだが・・・
うれしい。
Hiroさん 少し羨ましい?
投稿者 海鷹 : 2005年06月24日 22:27
うん、素直に羨ましい♪
JOHはどちらかというと天才肌。
それに対して松中は本当に「積み重ねた努力の人」というイメージ。肥後もっこすですよね、松中。
そんなところが長嶋、王にかぶります。
去年、松中は大好きな酒を断って三冠王を獲得。
自分もアルコールが大好きなので、そしてそれを断つのが並大抵のことではないのも経験してるだけに、本当に頭が下がります。
投稿者 HiRO@zetton05 : 2005年06月25日 02:54
三原脩の血は、きっと、福岡の大地に染みこんでいるんです。
巨人がサイアーラインを築いたように、
三原の血はブルードメアサイアーとして、
球界に残っていくのかと。
でも、この、王監督と、松中の話は、グスンときました。
王監督が巨人を追われる前後のエピソードが、また、
なんとも切ない話なんですよねぇ。
その物語に、続きがあってよかったなぁって思います。
休日の練習に松中は短パントレシャツ。
でも、まだ、足りないんだ。
休日返上の特打ち、それだけじゃだめなんだ。
そこでも、ビシッといくんだ!
ユニフォーム姿で戦うんだ!
一分の隙もみせちゃだめんだ!
そういう姿って、なんか、普通、厳しすぎて、
受け入れられないでしょう。
でも、それを出来るんですよね、鷹の選手には。
例えるなら、スラムダンクでゴリが、
初めて頼もしい仲間と出会い、
グスッと来るような、なんか、そんな感覚がありました。
HIROさん、福岡ドームはすごいです。
ここは、やっぱり、球界が目指すべき場所です。
それから、福岡の鷹ファンの方々もやっぱり素敵な方でした♪
投稿者 DAI : 2005年06月26日 11:20
そうですよね、王監督、その信念の強さ故、Giants時代には古くさい指導者みたいな言われかたしてましたね。これが、その続き...うん、とっても素晴らしい続きがあった。
この写真、汗まみれで打ち込む松中、ケージの後ろに胡座をかいて見守るユニフォーム姿の王貞治、これを見て何とも言えない気分になりました。嬉しいやら、泣けてくるやら...
王貞治は親しい記者に、もしソフトバンクになっていなければ辞めていた、と語ってるそうです。
その意味では、今でも王貞治が福岡にいてくれることに本当に感謝です。孫正義にもね。
福岡とHawksを愛する者として、王貞治のいない福岡、王貞治のいないHawksなんてもはや考えられません。
とはいえ、一方では球界全体のために働いて欲しいとも思ってしまいますが...
いいなぁ~っ、福岡ドーム!!
自分への夏休みでゲーム観に帰ろっかなぁ...
投稿者 HiRO@zetton05 : 2005年06月27日 19:20