2005年07月10日
怪物の集中力
Hawks 0 - 4 Lions
やはり鷹の連勝を止めたのはこの男だった。
松坂大輔。
平成の怪物と呼ばれるこの男、同じく怪物と呼ばれた清原和博と変なところが似ている。
相手が強ければ強いほど無類の集中力を発揮する。だが、何でもない相手に気のない勝負をして淡泊に負けるのだ。それ故ムラがあり、強い相手と対戦するときの様を知っていると、格下相手に簡単にやられる姿に、何でや?と勿体ない感じもしていた。
だが、昨年一皮向けた松坂大輔。ここまで6勝9敗と負け越してはいるもの、防御率2点台。
Lionsらしからぬ拙守と味方の拙攻に泣かされてはいても、良いときはもちろん、悪いときにもそれなりにゲームを作ってきている。
そして、その松坂が、さらに強い相手を前に集中力を発揮して切らさなければ、こうなる、というのを見せつけられたのがこのゲームだった。
とにかく、この日の松坂はスライダーのキレとコントロールが抜群。
アウトコースでストライクを獲るスライダーに、バティスタやズレータが打席でよけて見送るシーンが何度もあったぐらいだから、相当にキレていたのだろう。
対する和田は、やっぱりピリッとしない。序盤からランナーを背負うピッチングが続く。
迎えた4回裏、1死満塁のピンチ。中島をボテボテの3塁ゴロで本塁フォースアウト。続く細川を徹底したアウトコースへのストレート攻めで三振に斬って取り、見事に切り抜ける。
これで勢いに乗りたい和田だが続く、5回裏。
赤田の絶妙なセーフティバントをバティスタがダイレクトに右手で掴んで1塁で刺し、2アウト。味方の巧守にも助けられ、これでノっていけたら、と思った矢先に、和田に四球を与える。迎えるはカブレラ。ここはHRのみ与えなければいい。
だが、追い込みながら、明らかにゲームの勝負所のこの場面で失投。
ストレートが吸い込まれるように甘く入り、打球がスコアボードの僅かに下を直撃する特大の2ランHR。遂に2点の先制を許す。
さらに7回裏。赤田、和田、カブレラの3連打で2点献上。和田はこの前の回から既に球が甘く浮いていた。それを痛打された。その意味では、やや投手交代が遅れた感がある。王采配には珍しく悔いの残る投手交代。
この日の松坂の出来を考えると、4点差は大きかった。
Hawks打線は松坂の前にランナーが出ない。観ていても打てる気がしない。149km/hのストレートに抜群のキレで球速が違う2種類のスライダー。それにチェンジアップとフォークで緩急をつけられる。特にスライダーはコントロールも良く、速いスライダーと遅いスライダーで、自由自在にアウトコースに出し入れしていた。
正直観ていても打てる球がそんなになかった。
最終回、先頭大村がレフトへ綺麗に打ち返し、松中がチェンジアップでボテボテの3塁ゴロを打たされるが、これがボテボテすぎてラッキーな内野安打。JOHの打席は力んだか、スライダーがすっぽ抜け肩口に死球。で満塁。だがここでズレータをフォークで三振。The End。
Hawks打線でヒットを打ったのは、大村、松中、宮地のみ。たったの5安打で、最終回までは2塁すら踏ませてもらえなかった。14奪三振。完敗である。
チャンスを作りながらも、といった展開ではなかったため、そんなに後は引くこともないだろう。
とにかく松坂の出来が良すぎた。仕方あるまい。
だが、この日の松坂は、キレとコントロールが良かっただけではない。配球にも各打者に対する苦心の後と工夫が伺えた。おそらく、各打者のデータをもとにみっちりと事前の準備ができていたに違いない。
だが...松坂大輔を叩かずして日本一はない。
次はお返しせねばならない。良いときの松坂であっても、打てなくとも、それをどうチームとして崩していくのか。Hawksは、チームとして、そして日本一を目指すうえでの、昨年からの命題を残した。
ところで、この試合の6回裏、2塁ランナーG.G.佐藤のリードが大きいとみるや、JOHが投手に返球するように座ったまますっと2塁へ牽制。アウトは獲れなかったものの、こういう少しの妥協も許さない、締めるところは締め、常に全方位にできうる限りの目配りをする集中力は素晴らしい。そして、この集中力がJOHだけのものなら、このプレーは成り立たない。野手も集中しているからこそ可能なプレー。
これができるのが今のHawks。
連勝は15でストップした。
だが、決して勢いで勝っていたわけではない。チーム全体がやるべきことをやれば勝てる状態にある。
今日のゲーム、スライダーを武器にするもう1人の刺客、西口をどう攻略するか。見物である。
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