2008年01月01日
ヘッドスライディング
野球のチームメイトの間でも、ちょっとした話題になったこの話に触れておきたい。
北京五輪予選、韓国戦の初回に遊ゴロを放った宗が1塁にヘッドスライディング。
このWBC以来の愛弟子のプレーがイチローを逆撫でしたようだ。
問題の場面は韓国戦の初回だ。前日のフィリピン戦で負傷した井端に代わり2番に入った川崎は初回1死、遊ゴロに必死の一塁ヘッドスライディング。はた目には気迫の表れにも見えるが、これがイチローイズムに反した。「1回からヘッドスライディングなんてバカげたことをやりやがって」「カッコ悪いでしょ? 日本のオールスターだよ。アマチュアじゃない」。怒りを通り越し、あきれた口調でまくし立てた。
これだけ読んでも、イチローが何が気に入らないのかよく判らないかもしれない。チームメイトからも、「『かっこ悪い』?どういうこと?」といった声があった。1塁へのヘッドスライディングには、チームを鼓舞する、士気を高める効果はあるように思えるしね…
これに関しては、是非、このブログと相互リンクを貼らせていただいている紫電改さんのブログ「一生懸命!!」のこちらの記事をご覧いただきたい。Yahoo!のこのページからもリンクが貼られて大変なアクセスになっていた模様だ。
要は、こういうことだ。
1塁へのヘッドスライディングが、原則、NGとされている、その理由としては、以下が主なところだろう。
1)普通は駆け抜けた方が速い
ヘッドスライディングに限らず、スライディングには、
a)低く滑ることによってタッチをかいくぐりながら触塁する
b)オーバーランを防ぎ、ベースで確実に走塁を止めるためのブレーキング
等の意味がある。
a)に関しては、1塁への走塁に関してはフォースプレーでありタッチをくぐる必要はなく、しかもルール上、2塁へ進塁の姿勢を見せなければ1塁では駆け抜けることが許されている。
また、b)にもあるように、本来はブレーキングの意図もあるスライディング、土の上を滑れば、当然抵抗が働くため、ダイブして塁に到達するようなスライディングでない限りスピードは遅くなる。
2)怪我の危険性が高い
a)スパイクで踏まれる危険がある
1塁への送球が逸れた場合や1塁手がジャンプしなければならない場合など、1塁手に手先などを踏まれスパイクの刃で怪我をする危険性がある。
b)同様に衝突の危険性がある
1塁への送球が逸れれば、1塁手は送球の方向に身体を運ぶ。ヘッドスライディングの体勢に入ると走者方向へ逸れた場合に避けられず衝突に危険性が増す。現に、1塁手の足と肩が交錯し肩を脱臼した、などの例もある。
c)ベースでの怪我の可能性
ベースが出っ張っており、平坦なところを滑るわけではないため、ベースに指や手首をぶつけ捻挫や骨折をした例も聞く。また胸部を強打し、以降のプレーに差し障ることも。
3)次の塁への走塁が遅くなる
タイミング的に微妙な場合、内野手も送球を焦り、1塁への送球が逸れる可能性も高まる。もし、送球が逸れ1塁手が捕球出来ない場合、ヘッドスライディングをしていると2塁への進塁が遅れる。
例え、1)の部分で、スピードの落ちない、駆け抜けるよりも速いヘッドスライディングができたとしても、その危険性を考えると、1塁へのヘッドスライディングはすべきではない、というのが一般的。
こうした多くのデメリットを抱えながらも、高校野球では良く見られるヘッドスライディング。
負ければ後がない高校野球において、必死さのアピールと同時に、窮地に陥ったチームに諦めない姿勢を示し、士気を高めるために行われているように思う。
Hawksでも、宗や信彦がよく見せる。
が、それらは怪我の危険を伴うプレー。仮に、重要なゲームの1点を追う終盤でもない限り、やるべきではない。
イチローはそれを大前提に、それだけの多くのデメリットを承知で、故障でもすればチームのレギュラー遊撃手が試合に出られない状況を招きかねないヘッドスライディングを、1回から何故するのか、と言いたかったのだろう。
宗の気持ちも判らなくはない。
負けられない1戦、韓国戦に際して、チームに渇を入れたかった、チームの士気を高めたかった。そういうことだろう。
だが、それでもし怪我をしたなら、プロ失格のバカげたプレーだ、と。
チームを鼓舞するために、効果的な場合もある。が、そのプレーは危険と隣り合わせたもの。
自分もそのヘッドスライディングにしびれたこともある。
が、宗は今後ヘッドスライディングの封印を宣言した。
宗には、144試合フルに出場してもらわんと困るしね。
イチローに感謝。
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