« 「離陸までもうしばらくお待ちください」 | Main | 上を向け!前を見ろ!! »

April 26, 2008

[Hawks]

ドームを包む悲鳴と静寂

4/25 Marines 5-0 Hawks

痛い3連敗。
が、それ以上に痛いのが多村の怪我。本人にとっても、チームにとっても本当に痛い。

初回、1点を先制され、さらに3回、大塚の左中間への打球で、レフト長谷川とセンター多村が交錯。ボールが転々と外野を転がる間に、打った大塚本人もホームイン、ランニングホームランとなって2点を献上。

長谷川の膝が多村の右足に入ったっぽい。
それでもなお起き上がり、転がるボールを追わんとした多村。が、足を踏み出したその瞬間にうずくまる──。

かつてのGiants吉村と栄村の交錯シーンが脳裏によぎる。

吉村禎章。
PL学園出身。怪我以前の7年の通算打率.321。おそらく、怪我さえなければ、2000本安打はもちろん、原辰徳をも凌駕する輝かしい名声をGiantsの歴史に残したに違いない、といわれるほど将来を期待された打者だった。

奇しくも王監督が指揮を執る1988年夏、札幌丸山球場。レフトを守る吉村は左中間のフライを追ってセンター栄村と交錯。飛びついた栄村のボディが吉村の膝にタックルしたような状態だった。左膝の3本の靱帯が完全断裂、神経まで損傷するという大怪我。2度の手術を経ても、爪先を自らの意志で挙げることができず、補助器具を付けてプレー復帰を果たした。
熊本出身、郷里のヒーロー川上哲治を愛してGiantsファンだった親父が、後年、中継を観ながらしみじみと語ったことがある。
「吉村が怪我せんどきゃ、Giantsは全然違うチームになっとったやろうにな…。」

この怪我は、選手としての吉村の未来を奪っただけではない。若手だった栄村自身の心にも、きっと強烈なトラウマを残したに違いない。思い切りの良さは、ある意味、若手の特権でもある。それを奪われた若手選手……想像しただけでも、やるせない悲劇だ。

それを想い出した。

そして、怖いくらいに静まりかえる福岡ドーム。ドームで見守るファンの感情のひだが痛いくらいに伝わってくる。福岡ドームがこんな静寂に包まれたことがあったろうか。TV画面越しにも感じる異様なムード。

福岡ドームでの選手の怪我、といえば、決して忘れ得ぬ1999年9月。
Hawksが悲願の初優勝をかけて熾烈な首位争いを繰り広げ、Lionsを迎えた首位決戦。マウンドにはルーキーながら既に圧倒的な存在感を示していた松坂大輔。その重たい剛速球が秋山幸二の顔面を捉え頬骨を打ち砕く。もんどり打って倒れ込む秋山の姿に、球場全体から凄まじい怒号が飛び交った。ドームという密閉空間で反射し増幅された声がドーム全体を揺らし地鳴りを起こす。鳥肌が立った。
この後、韓国で開催された五輪予選で対韓国戦に登板した大輔。球場の全方向から向かってくる韓国代表への熱い応援。それにコメントを求められた際、大輔はこう答えている。「福岡ドームに比べれば全然マシ。」
そう、あのとき、自分も福岡ドームのスタンドで、足下から迫ってくる地響きを経験した。

それとは極めて対照的な、水を打ったような静けさ。
秋山の時は、相手投手にぶつけられたもの。今回は、怒りをぶつける相手もいない。一度は起き上がり、転がる打球を追おうとしたまま倒れ込んだ多村を、ひたすら見守るファン。


右足の腓骨骨折。

腓骨──、膝下の2本ある骨のうち、外側の細い方。骨折だったのは不幸中の幸いかな。
靱帯や筋肉のように伸縮する部分を断裂した場合、新しくできる細胞には伸縮性がない。故に完治も難しいし、今後の選手生活にも影響も及ぼしかねない。骨折なら、骨さえ繋がってしまえば影響は残りにくい。一時的な離脱だけで済む。


チームにとっては痛い、多村の長期離脱。

が、骨折だったからと安心したわけではないが、それ以上に心配なのが長谷川のメンタル面。
1軍昇格間もない若手選手にとっては、起用された試合、毎試合がアピールの場。そこでのハッスルが招いた主力選手の大怪我。その状況で言えば、まさに吉村-栄村の再現なのだが、本来、打球方向による連携の取り決め、二人の間で優先順位を決め徹底しておけば済んだ話。それができていなかったのは、長谷川だけのせいじゃない。年配の多村にも、外野守備コーチにも、同様の責任がある。
長谷川が、自責の念にかられ縮こまるのではなく、そう頭を整理して開き直れるか、さらには、多村の穴を自分で埋めんと発奮できるか。
そこを、秋山や小久保あたりで上手くケアしてやって欲しい。
王さんをして「松中と同じような打球を飛ばす」なんて評される素材なんて、そうはおらんけんね。

当たり前やけど、野球は、個対個の側面も持つけれど、やっぱりチームスポーツ。こういう事態にこそ、チーム力が問われる。
頼んだよ。


P.S.
清水直。憎らしいくらいのエース清水直が戻ってきたね。嬉しいよ。
オレなら、嫁さん死んだら、1年くらいは仕事も手につかんやろう、と思う。そうした、人として生きるために、必死で何かを乗り越えていく、その強さに感動する。
もちろんHawksの優勝を願っとるけど、でも、それ以上に、素晴らしい素質を持った選手が、選手として、そして、人として、目の前の障壁を一つ一つ乗り越えていく様を見るのは本当に嬉しい。…応援するよ。…優勝は譲らんけどね♪

人気Blogランキング Blogランキングにご協力ください!
投稿者 zetton05 : April 26, 2008 12:26 AM

Trackbacks

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.zetton05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/2478

Comments

ラジオで聴いていましたが、私も吉村の件が頭を過ぎりました。
短期的な戦力ダウン、長期的な2人の今後・・・野球の神様はどこまで試練を与えるんでしょうか、さすがに今夜はヘコミました。
ただ王監督曰く、残ったメンバーでカバーするしかありません。HiROさん曰く、ファンはチームの奮起を信じるだけです。それだけの力はありますし、そう思っています。
明日は大場ですね。躍動感溢れるフォームでこの雰囲気を払拭してほしいです。

投稿者 minoru : April 26, 2008 01:53 AM

minoru さん

靱帯などの損傷ではなく、骨折だったのは、本当に不幸中の幸いでしたね。

「気にしなくていい。どんどん(球を)捕りに行って、おれの分も打ってくれ」
謝罪した長谷川は、多村にそう言われ、
「とにかく切り替えよう、自分のできることをやろうと思った。」
そうです。
長谷川もこれを発奮材料にして欲しいですね。

チームの力は近年にないほど充分に蓄えられてます。まだこの時期に焦る必要なんてちっともない。これからですよ。

投稿者 HiRO@zetton05 : April 26, 2008 01:02 PM

多村は4~6週間患部固定でその後リハビリとのことで、HiROさんのとおり単純骨折でホッとしました。復帰は夏頃ですね。

海の向こうでは、城島が契約延長するようだとのニュースがありました。「マリナーズというチームが変わりつつある中で、自分がその力になりたい」と城島は言ったそうです。我等がホークスも負けられません!進化の過程を楽しみながら、それを信じて応援するのみですね!!

29日、所沢観戦いいですね♪ 今中継みてますが今日は選手の吐く息が白い・・・当日はいい気候ならいいですね~。

投稿者 minoru : April 26, 2008 03:39 PM

minoru さん

城島、3年の契約延長決定のようですね。王さんの後押しもあったようで、その絆の深さも嬉しいところです。
若鷹達にも同様に、
「Hawksというチームが変わりつつあるなか、自分がその中心の力になりたい。」
と強く思っていて欲しいもんです。

今日の所沢は寒そうでしたね。
でも、こんな状況だからこそ、若鷹達を応援してやりたいので、ね♪

投稿者 HiRO@zetton05 : April 27, 2008 12:59 AM

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)