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2009年03月25日

[WBC]

素晴らしき珠玉の10イニング

3/24 Japan ○ 5-3 ● Korea

全ての野球ファンを魅了する珠玉の1戦。

ジリジリとしたせめぎ合い。
勝利の女神もどちらに微笑むか決めあぐねているのか──。
いや、きっと、この素晴らしき勝負の終焉を惜しんでいたに違いない。

そう思えるほど流れが行ったり来たり。

日本の勝因をあげるとすれば、そんななかにあって終始相手にリードを許さなかったこと。
その意味では、5回、HRで追いつかれた直後の内川のスーパープレーが大きかった。あの打球が抜けていたらどう転んだかわからなかった。

'09 World Baseball Classic の Final。
Venezuelaを破って勝ち上がった韓国と、野球の母国U.S.A.を破った日本。
本大会、韓国の負けが日本戦の2敗のみなら、日本の負けも韓国相手の2敗のみ。決勝を戦い雌雄を決するに相応しい相手といっていい。


FinalGame_Opening


試合前のセレモニー。王さんがトロフィーの返還。
でも、これ1回目のと明らかに違う、「返還」ではないよね(笑)


初回、先頭イチローがヒットで出塁し、中島が送るも得点ならず。
今大会、ここまで日本は序盤にバントで送ることはなかった。先制点が重要なのはもちろん、ベンチもこの試合が少ない点での勝負になると考えているのだろう。

2回も得点圏に走者を進めながら無得点。
だが、ポン・ジュングンは既に2イニングで51球。100球の投球制限の半分以上を投げさせた。今までの登板に比べると変化球が多く球威に欠ける苦しいピッチング。

試合が動いたのは3回。
ショート深いところへの内野安打で先頭中島が出塁する。青木は痛烈なあたりのセカンドライナー。が、これを2塁コ・ヨンミンが弾いてしまう。ボールがライトに転がり、無死1-2塁。JOHの3ゴロで2塁封殺、1死1-3塁。ここで小笠原が1-2塁間を破るタイムリー。
相手のミスから得たチャンス。これを点に結びつけることこそ、試合の主導権を握る重要なポイント。それを見事先制点に結びつけた。


一方の岩隈。
初回をわずか10球で三者凡退に抑えると、3回までをパーフェクト。低めを丁寧につく投球は変わらず、全く危なげない。

が、5回表の日本の攻撃が走者2人を出しながら三振ゲッツーで終わったその直後、チュ・シンスにセンターへのHRを浴び同点。カーブを上手くすくわれた。失投ではない。打ったチュ・シンスを褒めたい。
さらに1死後、コ・ヨンミンの打球がレフト左を襲う。抜ければ長打コース。が、これを内川がスライディングしながらの逆シングルという難しい体制でワンバウンドで好捕、さらに2塁へ好返球し2塁タッチアウト。
内川の素晴らしい「攻め」の守備だ。抜けていれば同点に追いつかれた直後だっただけにわからなかった。もし、ここから勝ち越しを許していれば、追う試合の展開になってしまう場面。韓国に傾きかける流れをせき止めたスーパープレー。

Uchikawa's SuperPlay


6回裏の韓国の攻撃。岩隈の制球が多少乱れ始める。2人目のイ・ヨンギュに四球を与えるも三振ゲッツーでチェンジ。イ・ヨンギュはまたヘッドスライディング。ベースカバーに入った中島の膝に頭から激突しヘルメットのつばが割れた!中島は大丈夫か?が、軽い足取りでベンチに戻っていった、大丈夫そう。

その直後、7回表。韓国のマウンドは5回途中からのチョン・ヒョンウクが続投。
先頭片岡が真っ直ぐを引っ張って三遊間を破る。片岡のバッティンググラブには「25」の刺繍。志半ばでチームを離脱した村田のバッティンググラブだそうだ。
その片岡がイチローの2球目に2盗。これこれ、土壇場で1点を奪いにいく西武野球、これを観たかった。続く3球目をイチローが3塁線へ絶妙なセーフティ、無死1-3塁とすると、中島がレフト前へ。片岡が生還し勝ち越し!

さらに8回表。なおも続投のチョン・ヒョンウク。1死からアウトコースへの真っ直ぐを内川がライト前へ運ぶと、韓国ベンチが動く。リュ・ヒョンジンだ。
そのスライダーを振り切った稲葉の打球が1塁線を破りバウンドして迫り出したスタンドへ、エンタイトル2ベースとなって1死1-3塁。岩村がアウトコースのボールを難なくレフトへ打ち上げる。犠牲フライとなって貴重な追加点。ここで2塁の稲葉もレフトの返球を見て3塁へ。こういうところが日本野球に比べると粗さがある。

2点差として迎えたその裏。7回まで岩隈は84球。既に多少の疲労からか少し前から高めに浮くボールも増えている。
先頭のイ・ボムホに右中間を破る2ベースを浴び、コ・ヨンミンの遊ゴロの間に3塁へ。代打イ・デホはセンターへ打った瞬間本塁打かと思った特大の飛球。背走した青木が振り返る。ウォーニングゾーン手前で捕球するも、犠牲フライには充分。1点を返されその差1点。
さらに四球を与えたところで岩隈は降板。このプレッシャーのかかる舞台でのその素晴らしい投球内容もさることながら、100球の投球数制限のなか8回途中まで投げたのも凄い。如何にコントロールが良いか、その証左といえる。
マウンドへ向かったのは未だこのWBCでは1本のヒットも許していない杉内。イ・ヨンギュをレフトフライに打ちとりチェンジ。

9回の韓国のマウンドにはイム・チャンヨン。先頭イチローがライトオーバーの2ベースで出塁するも得点ならず。
1点差のまま迎えた9回裏。
一度はマウンドに上がった杉内だったが、韓国が左のイ・ジンヨンに右のチョン・グンウを代打に送ったためダルビッシュに。が、やや、力みがある。
1死後、キム・ヒョンスにストレートの四球を与え、さらにキム・テギュンも歩かせてしまい1死1-2塁。チュ・シンスを空振り三振にとり2死。
あと1人。
が、ここでキム・ボンホに三遊間を破られた!
土壇場で同点に追いつく韓国。


決勝に相応しい拮抗した展開で延長へ。


10回表、イム・チャンヨン続投。
先頭内川がライト前ヒット。稲葉が送って、岩村のレフト前ヒットで3塁まで進む。ここで片岡に替え代打川崎。が、初球を打ち上げてしまいショートフライ。唇を真一文字に噛む宗則。
2死1-3塁。韓国はもう塁につかずイチローを確実に打ちとろうという守備隊形。それをみて岩村は2盗。2死2-3塁。こうなると韓国にはイチローを敬遠という選択肢もあった。が、勝負だ。イチローがファールで粘って8球目、甘く真ん中に入ってきた半速球(シンカーが落ちなかった?)をセンター前に弾き返す!
2人が帰って2点を勝ち越し!

ICHIRO!


イチローはこの日4安打目、土壇場で値千金の勝ち越しタイムリー。

裏のマウンドにはそのままダルビッシュが上がる。
先頭カン・ミンホにはファールで粘られ四球を与えてしまうも、後続を断ち2死1塁。チョン・グンウを追い込み外へのスライダーで空振り三振。

マウンドで仁王立ちして拳を握り雄叫びを上げるダルビッシュ。JOHが駆け寄る。

Darvish&JOH


Hug!


川崎もダルビッシュに飛びつく。

Darvish&JOH&Munenori


マウンドに拡がる歓喜の輪。


To Joy_1


決勝のタイムリーを放ってさえ表情を崩さなかったイチローも無邪気な笑顔でハイタッチ。
攻守に大活躍の内川が25番のユニフォームを掲げる。


To Joy_2


韓国は、この試合、ちょっと投手を引っ張りすぎたかもしれない。
2人目のチョン・ヒョンウク、最後のイム・チャンヨン、2人とも2イニング目に球威が落ちていた。ま、それだけブルペンの中でも信頼の高い投手、ともいえるのだが。逆に言えば、韓国は最後、ほぼカードを切り尽くした格好だった。
そこも含めて、ゲームの流れが行き交うなか、終始、日本が韓国にリードを許さなかった、そこが勝敗を分けた。
結果的に、日本は常に試合を優位に進めることができた。リードを許せば、また両軍ベンチの用兵も違ったものになったに違いない。
それでも、韓国代表のその投手力の高さは日本とともに群を抜いていた。


その韓国と息詰まる接戦を制しての優勝。
Cubaに2試合連続完封勝ち、そしてU.S.A.を破り、北京五輪金メダルの韓国に3勝2敗で優勝。
前回は、韓国に1勝2敗、世紀の大誤審があったとはいえU.S.A.にも負けての優勝だったことを考えれば、本当に文句のつけようのない優勝といっていい。


Victory


Ichiro with Trophy


Uchikawa with #25


「イチローJapan」と揶揄する声があったほど、戦前はイチローがクローズアップされていたが、そのイチローもただのチームの一員、といえるほど、チーム全体が活躍して勝ちとった優勝ではなかったか。
不振を極めていたRound2、Cuba戦で初安打を放った際「支えてくれているのはみんなだっていうことは、分かっていた。支えてくれてありがとう。チームメートがつないでくれるっていうのは、すてきですね。」と語ったイチロー。
この試合のその初安打前のこと。「心がほぼ折れかけた」バント失敗後、ベンチに戻ってナインに謝罪。「ごめん!オレもへこみそうだわ…」。
隣に座るJOHはこう言ったそうだ。「大丈夫ですよ。イチローさんがしっかりするまでオレたちがつなぎますから」。
チームを自分が引っ張るのではなく、チームメイトに支えられる、そんな新たな喜びも味わったのではないだろうか。

3年前、イチローチルドレンと呼ばれた青木はチームの中心選手に成長し攻守に活躍。
川崎はベンチで常に声を出し続け、その姿を見せ続けることで他の控え選手が腐ることを許さなかった。宮本慎也とはまた違うベンチのまとめ役、といっても良いかもしれない。


今大会を通じ、松坂、岩隈、ダルビッシュ、杉内と4人の沢村賞投手を擁した日本の投手陣は、最高のパフォーマンスを魅せてくれた。そして、それを支えたJOHも。
優勝の原動力がこの図抜けた投手力にあることは議論の余地がない。

優勝したから、ではなく、過去の日本代表のなかでも最高のチームだったように思う。このチームの試合をもう見ることができないのはちょっぴり残念。

そして、この素晴らしいゲームは素晴らしい対戦相手なしにはあり得なかった。韓国代表チームにも感謝の意とともに敬意を表し拍手を送りたい。

素晴らしい戦いを魅せてくれてありがとう。
野球を愛する全てのファンに、また改めてその魅力をまざまざと見せつけた珠玉の10イニング。こんな試合を見ることができたこと自体、野球ファンにとってはこの上ない幸福だ。
約3週間にわたって、素晴らしい野球、その面白さ、そして怖さといったあらゆる要素をグッと凝縮して見せて愉しませてもらった。その集大成と呼ぶに相応しい決勝の10イニングだった。


おめでとう!
そして、ありがとう!


Victory with nihomaru

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投稿者 zetton05 : 2009年03月25日 00:44

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Comments

シャンパンファイトの場面で胴上げにブルペンチャッチャーが呼ばれていた時に、このチーム本当にいいチームだったんだな~としみじみ感じました。
その後呼ばれた田中まー君が足蹴にされてるあたりも、なんかほのぼのとして嬉しかったです。
体育会系の水で育った人だと、本当にまとまったチームでないと、あんな風にはならないことが良くわかると思うので。もう、このチームの試合が観られないことが、残念ですよね。

投稿者 ぼたん : 2009年03月26日 10:09

ぼたん姐さん

長いこと放置しっぱなで申し訳ありません。。。

> 体育会系の水で育った人だと、本当にまとまったチームでないと、あんな風にはならないことが良くわかると思うので。

ですね。
あのシャンパンファイトにチームの一体感が出ていたと思います。

今回、マスコミは終始「イチローJapan」な報道でしたが、誰が主役でもない、本当の意味でのいいチームに仕上がっていたように感じています。

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